■お酒を販売するには免許が必要です!
お酒の販売をしたいと思っている
免許を取るための要件が厳しいと聞きました
今ある店舗内でお酒を販売したいのですが無理でしょうか
飲食店などでお酒を提供する以外に、店頭で消費者を対象にしたお酒の販売や卸売としてお酒を販売する場合には、「酒類販売業免許」が必要です。
この「酒類販売業免許」には大きく2種類があり、簡単にいえば「小売業」「卸売業」で大別されています。
■どこに申請するの?
販売場の所在地を管轄する「税務署」に申請します。
税務署には酒類指導官という専門の担当官がいて、その指導官の指導を受けながら進めていくこととなりますので、行政庁との関わりの強い免許申請といえるでしょう。
■小売業と卸売業の違いって?
「小売業」は、通常、酒屋やコンビニ、スーパーなどで消費者に対し販売する形態のものと、インターネットやカタログなどで販売する形態のものに分けられます。
「卸売業」は、上記の小売業者にお酒を卸販売する際に必要な免許です。
こちらは細かく8つの区分にわかれていますが、「全酒類卸売業免許」「ビール卸売業免許」は審査を受ける順番が抽選とされており、都道府県ごとに免許が受けられる件数が決まっています。
毎年10月に抽選が行われることから、申請が受け付けられる9月に申請書を提出しなければなりません。
卸売業をお考えの方で、「全酒類」と「ビール」は申請の時期をしっかり見定めて長期的に計画されることをお勧めします。
では、「一般酒類小売業免許」について詳しくみていきましょう。
■一般酒類小売業免許について
酒類販売業の免許には、大きく分けて次の4つの要件が必要で、どれかひとつでも欠ければ免許を受けることはできません。
人的要件:申請者について
■酒税法の免許、アルコール事業法の許可を取り消されたことがないこと
■法人の免許取消処分等の前1年内に業務を執行する役員であった者で、その処分の日から3年を経過していること
■申請者が未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人であって、その法定代理人が欠格事由に該当していないこと
■申請者または法定代理人が法人の場合で、その役員が欠格事由に該当していないこと
■支配人が欠格事由に該当していないこと
■免許の申請前2年以内に、国税、地方税の滞納処分を受けていないこと など
税金を滞納している場合、申請自体が拒否されることになります。申請時に「完納証明書」を添付しなければなりません。
一定の刑(罰金刑や禁錮以上の刑)を受けている場合は、試行終了から3年以上が経過していなければ申請できません。
過去に、酒税法やアルコール事業法の許可を取り消されたことがある方は、申請できません。
場所的要件:販売場所について
■販売場が、酒類の製造場、販売場、酒場、旅館、料理店等と同一の場所でないこと
■販売場での営業がその区画割、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性、他の営業主体の営業と明確に区分されていること
原則として、飲食店での販売はできないとされています。ただし諸々の要件を満たすことができれば免許の取得が可能です。
例えば、イタリアンレストランでワインを販売したい場合もあるでしょう。
この場合、飲食営業と酒類販売営業について、場所、会計、保管方法などを明確に区分するといった対策によって免許取得できる場合もあります。
また「酒を保管する場所」が明確に示せなければなりません。賃貸マンションの住居の一室を利用して営業する場合、その多くは「居住目的賃貸」となっているはずですので、販売場として利用するためには、所有者から「建物使用承諾書」を得て提出する必要があります。
経営基礎要件:経営基盤と経営経験について
【経営基盤】下記の場合は申請できません。
■申請者(法人の場合は役員)が破産者で復権を得ていない場合
■経営の基礎が薄弱である場合
現に国税・地方税を滞納している
申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている
最終事業年度決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている
最終事業年度以前の3事業年度すべてにおいて資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている
酒税に関係のある法令に違反、通告処分を受け、履行していない場合または告発されている
販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令または地方 自治体の条例の規定に違反しており、店舗の除去移転を命じられている場合
申請販売場において、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれる場合
経営基盤がしっかりしているかどうかが判断されます。最も重要なポイントは、
・最終事業年度決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている
・最終事業年度以前の3事業年度すべてにおいて資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている
この2つに該当する場合は免許の取得は不可能とお考えください。
【経営経験】
■申請者(法人の場合はその役員)が、酒類等製造販売業に従事した期間を3年以上有しており、酒類に関する知識及び記帳能力等、酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有し、独立して営業ができるものと認められること
またその経験がない場合には、「酒類販売管理者講習」を受講していること
原則的には「3年以上の実務経験」が必要で、その不足を補う措置として「酒類販売管理者講習」が準備されています。
この「酒類販売管理者講習」は、各国税局管内において年に数回実施されています。
免許を取得したいけれど酒類販売経験が不足している・・・という方は、取得希望時期から逆算して計画的にこの講習を受けることをお勧めいたします。
また、経験のある方でも申請時に受講証の写しを求められることが多いので、受講しておいた方が良いでしょう。
酒類販売管理者講習についてはこちらを参照ください→国税庁ホームページ
需給調整要件
■申請者が設立の趣旨から見て、販売先が原則としてその構成員に特定されている法人または団体ではないこと
■申請者が、酒場、旅館、料理店等酒類を扱う接客業者ではないこと
■酒類販売管理者の選任と届出(免許付与後)
「酒類販売管理者」とは、販売業務に関する法令が遵守されるように助言し、従業員等に対し指導を行う者のことをいいます。
酒類小売業者は、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選任しなければなりません。(酒類業組合法)
例えば、販売場が1階、2階にわたる場合などは、複数名を選任する必要があります。
小売業者は酒類販売管理者を選任(解任)してから2週間以内に「酒類販売管理者選任届出書」を所轄税務署に提出しなければなりません。
また、選任後3か月以内に、「酒類販売管理研修」を受講させるよう努めなければなりません。
酒類販売管理者は、店舗内にその使命と受講実績を掲示しなければならないとされています。
■酒類販売免許申請に必要な書類
酒類販売免許申請書 申請人情報等
販売場の敷地状況 建物およびその周辺の全体図を明示
建物等の配置図 店舗と倉庫の位置図、店舗内の陳列等を明示
事業の概要 店舗面積、備品等を記載
収支見込み 予定される仕入・販売先や売上予定等の見積もりを記載
所要資金の額及び調達方法 自己資金、融資予定等
酒類の販売管理に関する取組計画書 販売管理者など
申請書チェック表 申請書類一式をチェックします
酒類販売業免許の免許要件誓約書 免許要件を満たしているかを記載します
法人登記事項証明書及び定款の写し 法人の場合。履歴事項全部証明書が必要
住民票の写し 本籍記載が必要
履歴書 申請者の職務経歴書。法人の場合は役員全員分が必要
契約書等の写し 賃貸借物件の場合、賃貸借契約書等が必要
土地及び建物の登記事項証明書 全部事項証明書。すべての地番のものが必要
最終事業年度以前3事業年度の財務諸表 個人の場合は収支計算書を添付
地方税の納税証明書 県税・市町村税の完納証明書
その他参考となる書類(通信販売酒類小売業免許のみ) インターネットサイトやカタログ、申込書などを添付
■通信販売酒類小売業について
みなさんも、インターネットのサイトを通じてお酒を購入される機会が増えたのではないでしょうか。
ホームページやカタログなどを利用し、ネットや郵送、電話、FAX、チラシ、新聞折り込みなどで販売する場合には、「通信販売酒類小売業免許」が必要です。
この免許取得には「2都道府県以上の消費者等を対象として販売を行うこと」が条件とされており、通信販売であっても、1都道府県内での販売であれば、この免許は必要なく、一般酒類小売業免許で足りるとされています。
また、国産酒でれば、年間の出荷量が3000キロリットル未満であるの酒類製造者のお酒に限られ、申請時にはその証明書を添付しなければなりません。
ただし、海外から輸入したお酒を販売するのであれば制限はありません。
通信販売酒類小売業免許の要件は、上記一般酒類小売業免許の要件に準じますが、以下は追加される要件となります。
■経験等から判断し、2都道府県以上の広範な地域の消費者を対象として、適正に酒類の通信販売を行うため十分な知識、経営能力及び販売能力を有すると認められる者またはこれらの者が主体となって組織する法人であること
■酒類通信販売を行うための所要資金を融資、販売方法が、特定商取引に関する法律の消費者保護関係規定に準拠し、「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」を満たしまたはこの定めを満たす見込みが確実であること
■酒類の購入申込者が未成年でないことを確認できる手段を講ずるものと認められること
取得費用(登録免許税)
一般酒類小売業 |
30,000円 |
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通信販売酒類小売業 |
30,000円 |
ご依頼の流れ
①お問合せ、ご依頼(メール、FAX、電話)
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②ご相談への回答、「ヒアリングシート」での打合せ、お見積書の提示
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③正式依頼の確認
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④税務署での事前相談・着手
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⑤打合せ及び現地調査、書類収集等
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⑥税務署に申請一式を提出
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⑦審査完了、登録免許税の納付
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⑧免許の付与(申請から概ね2か月程度)
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⑨酒類販売管理者の選任と届出
当所報酬(税務署との折衝を含みます)
100,000円 ※登録費用、その他実費はご負担願います。